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ガーデンでの生活を記録したり、報告書をボク用にまとめたり。
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    グレート☆アート

    「チーム・グレ☆グレ、一大ミッションを発表します」

    ホムラとイブキがガーデンを去ってまもなく、ボクは今残っているメンバー、フェン、クラート、ヨハイを活動室に集め、新たなミッションを告げる。

    「ガーデンを……楽園をキレイにするよ!」






    「掃除でもするの?」

    熊耳のおもちゃ(?)をつけたクラートが真っ先に尋ねる。

    「逆逆。アートで飾るんだよ」

    ボクは私物のペンを取り出し、空気の壁に大きくウサギのマークを書いてみせる。それをややしらけた様子で見ていたポチ耳ヘアのフェンが口を開く。
    「つまり落書きか。ものは言いようだな……」
    「だからこそハイセンスに言ったんじゃんわかってないな~ポチは」
    「まぁまぁ。ここはカワイイアイドルカガリ君の話を最後まで聞こうじゃないか。 して、そんな奇怪な作戦の意図は何だね?」

    興味深げに耳を傾けるヨハイに、よくぞ聞いてくれましたとばかりに息を深く吸い込む。

    「あるところに、アザミというドールがいました」

    「なんか始めちゃった」と困惑しながらもとりあえず観客になるクラートとフェン。劇中音楽を鼻歌で口ずさむヨハイ。

    「アザミは好奇心旺盛でお片付けがニガテなドールです。
    でも、勇者になりたいという夢がありました。
    だから皆を守るチカラを手に入れるため生徒会に入りました。
    ところが任されたお仕事は環境。ニガテな掃除を毎日強いられているのでしょう。
    しかし、センキョ的なアレで決まったなんかセキニン重大な仕事の為 やめることもできません」

    「途中適当だね」
    「アザミのココロは壊れていきます。
    オトモダチのカガリちゃんが”もう生徒会なんてやめて!”と言っても声が届きません。
    だからカガリちゃんは考えたのです。
    環境のお仕事をもっとやめたくなるように、嫌な仕事を増やしてしまおうと!」

    「……いや、なんか違」
    「うむ!!!素晴らしい!!!」

    ちょいちょいフェンとクラートが口をはさんできたけど、終演後ヨハイが歓声と拍手で会場を包む。

    「なんと熱き友情の物語だ…友の心を救う為に自らの手を汚すとは…!よろしい!手を貸そうではないか!!」
    「待て。……そもそも半分は憶測だろ。はやとちりしてんじゃねえのか?」
    「…ぶっちゃけ、生徒会が原因かどうかはわかんないけどさ」

    ボクはやれやれと肩を落とす。

    「…話してくれないんだもん」

    無意識に表情を曇らせた瞬間、クラートと目が合い、慌てていつものへらっとした笑顔に上書きする。

    「ほら!チーム・グレ☆グレは楽しいコトをするんだから、アザミの話は抜きにしても、地味な楽園を派手にイメチェンすると思ってさ!」

    「…僕も、やる」

    ぽつり、とクラートが呟く。

    「アザミがそれで元気になるとは思えないけど、今のままのアザミを放っておけない人がいるっていうのは…伝わるんじゃないかな」

    「……たく、仕方ねえな」

    クラートに続き、最終的にフェンも折れた。
    …正直、ここらでそろそろ離脱者が出ると思ってた。特にフェンなんて、恨まれてもおかしくないぐらい過去にボロクソ言ってやった事もあるのに、なんだかんだで皆、ついてくる事になった。



    *



    学園内をキレイにする「画材」集めはフェンとクラート、ボクとヨハイの二手に分かれて行った。
    わざわざ誰でも見れる申請用の掲示板で「落書きの道具ください!」なんて言えるわけがなかったので、フェンとクラートは適当な内容で決闘し、サングリアルからいい感じの油性ペンを確保。
    そして、ボクとヨハイは…授業も終わり、一般生徒ドールが下校しきった後、陽が沈む頃にとある場所を訪れる。

    「失礼しま~っす。カシ…サン?いる?」

    ガーデンが「ルナガーデン」「ソルガーデン」に分かれたタイミングで生えてきた地下1階。ボク含めたルナガーデンの生徒はここで授業を受ける(なおボクは安定のサボり)んだけど、この日用があるのは理事長室。

    「居るぜ、どうかしたのか?」

    中から理事長のカシサンが出てくる。 カシサンは、戦いに役立ついろんな武器をつくれる存在。教師AIとはちょっと違うらしい。ボクが戦闘の時愛用しているグレネードポーチ・プロトタイプもカシサン作!

    「知り合いのドールがめっちゃイカした腕つけてるじゃん。あれカシサン作ったんだって~?」
    「ああ、そうさ」

    知り合いのドールっていうのは、6期生のシャンティくん。腕がもげちゃったみたいで、超絶かっこいい義手がついてるんだ。

    「色も全部カシサンの趣味~?」

    ペンよりももっとがっつり、一気に広範囲に色がつけられるようなもの……と考えを巡らせてた時、フェンが、工作の道具ならカシサンも持ってそうだと言い出したことで、ボクはシャンティの義手にもしっかりと色がついている事を思い出した。…でもどうして言い出しっぺがこっちについて来なかったかはあとで説明するね。

    「それはない」

    センスいいね~って褒めてキゲンを取る作戦が、実行を待たずして終了してしまった。

    「して、如何なる方途を以て彩色を施されたのかな?願わくば拝見したいものだが」
    「その程度なら構わないが」

    カシサンは、あっさりと塗料を持ってきてくれた。片手で持てるサイズの入れ物に入ってて、蓋の色で中身がわかるようになってる。渋られると思ったけどこんなに簡単ならひょっとすれば交渉次第で……

    「カシサンこれさ~、ちょっと借りてもいい?」
    「ダメ」

    ……流石にないか。これは想定の範囲内。

    「いーじゃん減るもんじゃないし~」
    「ダメ!アタシんだもん!」

    カシサンってちょくちょく突然子供が憑依したような行動とるよね。こっちが素なのかな? う~ん、どっちにしろ守りが余計に固くなっちゃったな。 とりあえず何でもいいからカシの注意を引けないか、ヨハイに念話を送る。 ……ボクは最初から、画材を「借りれる」なんて期待しちゃいない。だから「強奪する」予定だった。
    って皆に伝えたところ、クラートとフェンは泥棒にはなりたくなかったみたいで、油性ペン確保班になったんだ。カシサンともう少し交流があるであろうフェンがいないのは、そういうワケ。

    「勇者が其処にて目にしたるは、台座に奉納されし一振りの錆びた剣!喪われし真の力を甦らせるには?かつての彩を復すには何を以て臨むべきかそれとも…」

    ヨハイの気の引き方…彼らしいけど独特すぎる。なんかもっと「あ!後ろからアスナロさんが!」みたいなのを期待してたんだけど。

    「…………」

    おいおい…カシサンってば体勢は変えないまま黙っちゃったよ。引いてるじゃん…いや待って?それともまさか、演劇に釘付けになってる……?
    もう、どっちでもいい!よそ見してくれれば手荒なことなんてせずに済んだんだよ!

    ガツン。

    気軽に凶器にできそうなものはなかったので、仮にも理事長の頭を掴んで思い切り机に叩きつける。

    「ぶ」

    カシサンの意識は一瞬で飛び、床にどさっと倒れる。
    ……そういえば…すっかり忘れてたけどカシサンって武器はつくれるけど身体的な強さはクソザコだったっけ……日記には書いてないけど、一回こんな感じの見たことあったわ。
    なにはともあれ、塗料の確保には成功する。
    ガーデンのエラいヒトを殴っちゃったから来るだろうなと思っていた罰則通知が来ない。 まさか弱すぎて罰則にすらなんないの?だとしたら笑うんだけど。



    *



    そして、10月12日の夜更け、ボクらは見回りもいなくなった事をしっかり確かめてから校舎の中へ入り、ここでも二手に分かれて1階と2階の廊下を”美化”した。

    「びぇ…意外と疲れんねこれ…うお!?すっご!!」

    2階の廊下に塗料をいい感じにぶちまけたところで、1階を担当しているフェン、ヨハイと合流するため階段を下りる。すると、壁一面に巨大な絵が描かれている。

    「すごい…大きな絵が飾られているみたいだ」
    「わっはっはっは!!!まさに唯一無二とはこの事!!!!」

    …やっぱり、ヨハイって深夜になるとテンションがおかしくなるんだけど、眠いのかな?

    「さて、稀代の芸術者フェン君!!この作品を何と題するのかな?」
    「あ? ……あんま考えてなかったな。『自由』でいいだろ」

    フェンの目が若干泳いでいる。照れてるのかな?可愛いとこあるじゃん。タイトルはダサいけど。

    「決闘の時もフェン、上手だったよね。こういうの好きなの?」
    「……どうだろうな。考えたこともねえ」
    「よっっ!ポチ画伯~~!」
    「うるせぇ」

    皆でひとしきりフェンを褒めたたえる。耳のようにピンとはねた両サイドの髪が、ぴくぴくと動いた…気がした。

    「教室ん中は?」
    「まったく。そんでもってインクがねえ」
    「だよね~。こっちもやってない」

    ”美化”は、思ったよりも大変だった。廊下の壁を全部埋めるだけで簡単に日を跨いでしまった。
    ボクとクラートは、塗料を塗る道具を借り忘れたことに気が付いてどうしようかわたわたしてた時間の方が長かったけど。(結局掃除用の雑巾がいくつか犠牲になった)

    「地下もやんのか? このペースでチンタラやってたら夜が明けるぞ」
    「もう十分じゃないかな。これだけでも掃除はかなり骨が折れそうだよ」

    確かに、書くのにこれだけ時間がかかったのなら、綺麗に消すのはもっと時間がかかる。 使った具材は水では落ちないから尚更一苦労だ。 ボクはミッションの実行を前以てこの日と予告しないから仮眠なんてとってなかっただろうし、フェンもクラートもかなり疲れているようだった。会話に時折欠伸も混ざってる。

    「はは~!明日は掃除で授業つぶれんじゃない?」
    「む?カワイイアイドルカガリ君はいつ授業に出ていたんだい?」
    「へへ~~…バレた?」

    立ち話もほどほどに、ボクらは退散することにした。

    寮に着くまでも、歩いたまま寝そうになっているクラートの脇腹をつついてヘンな声を上げさせたり、あまりに静かすぎるヨハイを一般生徒ドールと入れ替わっていないかと疑ったり、まぁ退屈しない時間を過ごせた。

    あとどのくらい、一緒にいられるだろう。

    そんな不安が、ふと頭を過るほどに。
    決して”友達”ではないのに。 ”友達”ではないなら……なおさら。
    ……長く一緒に行動しすぎるのも、考えものだ。


    さて、夜が明けたあと
    このありさまを見たアザミは、どうするかな。


    Diary080「グレート☆アート」
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