園芸用具室から出たボクとメロディアセンパイは、
屋上階段の端っこにちょこん、と座って待っていたククツミセンパイと合流!
メロディアセンパイもこのあとまだ少し時間があるらしく、引き続き一緒に行動することに。
さて、この階で見ていないところは―――一番奥の図書室だけ。
立ち入り禁止と言われても、気になっちゃうのがカガリなのです。
「…ちょ~っとのぞくぐらいもダメなんですか?」
あたりにこわ~い図書委員サンがいないことを確認して、ボクはなるべく声を落として、センパイふたりに尋ねました。
センパイたちは顔を見合わせて戸惑っている様子。
「辞めておけ」
「ふぇっ」
ククツミセンパイでも、メロディアセンパイでもない声が後ろから返ってきてビックリ!こ、これは…こわ~い図書委員サンに見つかったやつ!?
「今は閉鎖中、無理に入ると…どうなるかは知らねぇぞ」
思わず振り返ったボクはちょっと怖い顔になってたかも!
だって本当にびびったんですもん…
普段はカワイイので許してくださ~い♡
と……見覚えのある翠色の髪!
同じクラスコードのリラセンパイがそこに立っていました。
…でも、おかしいなぁ。
ボクが初めて寮に来た時にはもっと透き通るような声で口調も柔らかかったのに…
と思って今まで一緒に行動したセンパイ達の方を見ても、ふたりとも何も驚いてないみたい。
「………なぁんて」
戸惑っていると、また後ろから声が。
「今はちょっと利用が難しいので、問題が解決した後、是非来てください」
これは……今度こそ『いつものリラセンパイ』の声だ。
「ん?え?
……り、らセンパイ………で合ってます?」
それでもボクは戸惑って、リラセンパイの顔をまじまじと見る。
「はい、リラであっていますよ。皆さんは…校舎見学ですか?」
「やぁ、リラくん。お察しの通り、カガリくんへの校舎案内だね」
ついポカーンとしているボクの代わりに質問に答えたのはククツミセンパイでした。
あとでわかったことなんだけど、リラセンパイって図書委員の一人だったみたいで、
きっと図書室で悪いコトをするドールには日常的にああいう立ち振る舞いで脅かしてるのかな?
だから、他のセンパイも全く驚かなかったんだ…
リラセンパイ、演技上手すぎ!まるで別人に入れ替わっちゃったみたい!
これがいわゆる「ギャップ萌え」というやつなのでしょうか?
「それで……図書室の利用が難しいって……改装中かなにかですか?」
さてと。リラセンパイだとわかれば質問タイム。やっぱり気になることは単刀直入に聞いていかなきゃ!
正直に答えてくれるでしょうか?
「……図書室は、今マギアビーストが出現中で、出撃以外の入室が制限されてる状態、ですね…」
図書室の方を向いて、遂にボクが知りたかった情報をくれたリラセンパイ。
この時だけちょっと声色が深刻そうだったのを、ボクは聞き逃しませんでした。
「…まぁ、それ以外は問題ないので!
あ、部室棟は回られました?まだでしたらご案内しますよ!」
「……まぎあびーすと?」
ボクらの方に向き直った時には、なにもなかったと語るような笑顔をしっかり仕上げていて、別の話題に切り替えようとするリラセンパイを……ボクは逃がしませんでした☆
だってそうでしょ?
図書室を封鎖しちゃうほど、話題にするのも躊躇っちゃうほどヤバいものが扉を開けた先にいる。
こんな燃えるシチュエーションがある??
っていうボクの心情がうっかり顔に出ちゃってたのかな?
後ろから、「あー……そっちのタイプかぁ……」というククツミセンパイの声が聞こえてきたけど、ボクはぜんぜん気にしませ~ん!だって…本当に「そういうタイプ」だから!
隠すつもりなんてあるもんですか!ボクの感情は今絶対ステージの上でダンスしちゃってる!!
「…カガリさん、マギアビーストについては後ほど説明しますので、よかったら先に部室棟の案内はどうですか?」
もっと。
もっと知りたい。
足りない!
…というボクの熱意が通じたのか、リラセンパイがとっても嬉しい約束をしてくれました!
「わぁ~!ちょうどボク、演劇部に興味が出てきてたとこなんです!」
どちらかというと今一番興味が湧いているのは『まぎあびーすと』の情報ですけどね☆
でも、部室棟といえば…さっき用具室でメロディアセンパイから部活のお話も聞いていたところだったから、真っ赤なウソをついたわけではないですよ?
どうせ敷地内も探検してみたかったし、素直について行くことにしました!
と…その前に、
ククツミセンパイは飼育委員で飼っている動物のお世話があるらしいのでここでお別れ。
反対に、
「あたしは部室棟まで行くよ。生物研究部の部室にマリモがいるから、今どうなったか見たいし」
…と言ったメロディアセンパイ、実は実は!3つも部活に入ってるんですって!いくら兼任できるとはいえ、委員会のお仕事にくわえて三つも掛け持ちできるなんてすご~い!ボクが目をつけている演劇部にも所属してるみたいだから、委員会以外でも、まだまだお世話になりそう!
*
ククツミセンパイにみんなで手を振ったあと…いよいよツアーの舞台は校舎の外に!
リラセンパイの先導でボクたちは部室棟を目指します。
途中でリラセンパイがガーデンに今ある部活の説明をしてくれて……同じ説明をメロディアセンパイからも聞いたはずなんだけど、どうしても一個だけ名前が難しい部活がある。
「えーっとその、なんですか?えあろすらすらなんとか部って……」
「エアロスラスター部、ですね」
「そう!それです!エアロスラっしゃ~部!」
根気よく復唱してくれたリラセンパイのお陰でエアロスラスター部の名前は覚えたけれど、
きちんと言えるようになるまでボクはあと何回噛むんだろう…
この特徴的な名前の部活は、浮遊魔法を使って行われる球技みたいなんだけど、現役部員のメロディアセンパイによると
「人数がいないから、キャッチボールや浮遊練習ばかりになってるけどね」
だそうな…。人数が揃えばそこそこ楽しそうなんだけどなぁ。
あんまり運動好きなドールがいないのかな?
部活のお話が一段落すると、メロディアセンパイとも別行動に。
そういえば、そもそも部室棟までご一緒してくれた目的が、生物研究部のマリモの様子を見るためでしたね!マリモってあんまり動かないイメージだから、ボクは5秒眺めたら飽きちゃいそう…。
ちょっと色々あって部活の資料にも目を通せてなかったし、
実際に部活を見学しに行くのはまた別の機会にお預け!
とりあえず部室棟をぐる~っとまわったあたりでリラセンパイが寒そうにしていたので、そろそろ寮へ帰ることにしました。
これにて校内見学ツアー終了!…と言いたいところなんですが…
「そういえば、ガーデン以外にもエリアがあるのはご存知ですか?」
寮へ帰る道すがら、リラセンパイがもうひとつ、面白そうな話をしてくれたんです。
なんでも、ガーデンの外のエリアにある「季節の石」があべこべになってしまって
エリア内の季節がぐちゃぐちゃになってしまったのだとか。
…道理で、おかしいと思ったんですよね。
部室棟へ行く途中にあったプールが凍っちゃってたの…。
使わないならお水を抜いておけばいいのに…そうする前に「招かれざる冬」が来てしまったのなら納得ですね!
他にもゲームセンターや遊園地など、面白そうな施設が目白押しなのだとか!
これは休校期間もタイクツする心配はなさそうな予感!
「良かったら、今度秋のエリアでピクニックを兼ねて『季節の石探し』をするんですが、カガリさんもどうでしょう?
色々美味しいものも作って行く予定なので、良ければ!」
「わああああああ!
ピクニック?石探し?おいしいもの?」
ご褒美を三ついっぺんに貰えた気分♪
「やるやる!やります!」
正直ボクは「季節がおかしくなったあと」に入学したので、ボクにとっては今のコレが「普通」なんだけど…石を集めたらどうなるかも見てみたいし、二つ返事でOKしちゃいました☆
季節の石探しには、まだボクが会ったことのないドールも参加するみたいなので
どんな燃えることが待ってるか、ワクワクが止まりません!
それに……
このあと、も~っと面白い話をリラセンパイから聞けることも確定済みですし☆
*
部活動
おもしろそうな施設
季節の石
ピクニック
そして…
マギアビースト。
これからこのガーデンが、どのぐらい…
…どうでもいいことなんて、気にならなくなるぐらい…
ボクを燃えさせてくれるのか、楽しみです☆
以上で今回の報告を終わりたいと思います!
これからもカガリの活躍にご注目~!
書いた日:2月18日
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