グレ☆グレの活動ルールに「生徒会や風紀委員にチクるな」があるけど、チームとして行った活動2回の中で風紀委員が皆勤賞で登場するわ、生徒会にバレるわでルールもへったくれもない!チーム壊滅状態!
…という訳ではなく。
いずれこういう事してれば存在を知られるのは時間の問題だっただろうし、邪魔さえされなければ別にいい。これまで関わった風紀委員の2体は幸い「根っからの良い子チャン」ではなかったし(もう1体がそこそこ平和主義だからなぁ…気を付けないと)、生徒会に至っても、出現させたマギアビーストをチーム総出で食い止めたからか、その後それ以上なにか言及したり、監視してくることは無かった。
それに、ある程度メンバーが集まった状態で生徒会に見つかるのは、個人的には都合が良かった。正確には、「生徒会のうちの1体」に見つかる……かな。
そのドールが他のコから距離をとって帰路を歩いていたので、背後からそっと近づき、両手で肩をドンと押す。
「ぁ、カガリ……」
葡萄色の髪に黒い服。「親友」と呼んでいたドール、アザミ。
…この程度でよろけたりするっけ?森で修行して気配に敏感になったんじゃなかったっけ?何その「顔を見て初めて気づきました」みたいな反応……
「出番なかったね~?アザミ?」
解釈違いな行動には一旦目を瞑り、先程のビースト戦で出撃に備え待機してはいたものの、アザミに順番が回ってくる前に敵がダウンしてしまったネタで揶揄おうとする。
「レリックの抽選から外れちゃったねぇ」
マギアレリックが受け取れるチャンスは討伐以外にもあるんだけど、アザミにはレリック運が殆ど回ってこなかった………のは去年の話。今このドールの手に、新しいレリックが渡ったかどうかはそういえばわからない。それだけ、疎遠でいたから。だから「もうレリックゼロなんて呼ばせませんよ!」なんて反論が返ってくるかと期待した。
…が。
「いいですね、あなたは。楽しそうで」
嫌味…にすらなっていないトーンでこれだけ返される。
「何それ。僻んでんの?」
「……ぁ、違、そういうつもりじゃなくて……」
どんな言い訳が続くと思えば、溜息に近い一呼吸を置き…
「……すみません。何か間違えてたら、言ってください……」
…その小さくなり方が間違いだろ。と言ってやろうかと思ったけれど、逆にそれを利用してからかってやるのはどうだろうと、ボクはアザミの服をわざとらしくじーっと見つめる。
「……上着の前後まちがえてるよ」
「ぇ」
さて、ここで今日のアザミの服を見てみよう。
この上着で前後逆は間違えようとする方が大変だ。
「……うっそ~~!!」
見るに見かねてとびっきりの悪い顔をしながら額を軽く小突く。
「……良かった」
......や。良かったじゃないよもっと言うことないの?じれったいを通り越してもはや
「…なんか…アザミじゃない」
「……」
人格コアを取られた…まではいっていない…と思う。何ていうか、本来のアザミでいることに対してビクビクしているような感じ。
「あのヘンな大きい音出る武器は?面白かったのに」
「……今は、封印してます。危ない……ですからね」
以前仮想戦闘に誘ってくれた時、ものすごい音を上げて燃え上がる?武器を身に着けていた。 無駄に燃えてるだけでなかなか攻撃当たらなくて見てるこっちは面白かったけど、まぁ慎重なドールなら「危ないですからね」と使うのをやめると思う。でも…アザミがそんなことをするのはおかしい。 アザミはそれでも、その武器を簡単に手放したりはしなかった、…のに。
「わかった!生徒会でイジめられたんじゃないのー?」
「……別に、そんなことは……」
“ない”とは言い切らない、この歯切れの悪さ。
「…『思ったより仕事キツすぎません!?そろそろ本がないとしんじゃう!』……とかさ」
「……」
変声魔法を使って、煽り山盛りなアザミのモノマネをしてふざけてみても、応答なし。
「……そもそも何で生徒会なんて入ったのさ?」
「……」
その辺の、人格チップが埋め込まれていない状態の一般生徒ドールの方がまだマシな反応を返すでしょ。これじゃまるで虚無と会話しているみたいで……
「……はぁ…つまんな」
何を話しても、これ以外の感想は出てきやしない。
タイクツ…それは一番、一番大嫌いなものだ。
これ以上ここにとどまる理由はない。
「……すっかりガーデンのイヌだね」
アザミの脇を通り過ぎながら、唾を吐くように捨て台詞を残し、ボクは大股で寮へと戻って行った。
Diary074「勇者のホコリ」
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