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ガーデンでの生活を記録したり、報告書をボク用にまとめたり。
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    篝火は歪む

    歌が、聴こえた。

    そこでしか聴こえない歌が。







    ブレスの位置も強弱記号も一定でなく

    メロディも、言葉もない

    声、声、聲、聲の羅列。


    在りし日の、ほんの断片しかない記憶を手繰り寄せる。

    歌を口ずさみながら何かしていた。

    ボクはそれが楽しかった。

    楽しくて、楽しくて、思わず歌ってしまうほどに。

    だが楽しい時間は続かなかった。


    『大切なもの』を奪われたとき、

    何も聴こえない静寂が広がった。

    奪われたものはさっぱり思い出せない。

    思い出す方法だけは知っているけれど


    今のままで何ひとつ不自由しないなら

    『大切だ』と、ただ思い込んでいるだけかも知れない。


    それよりも…

    『大切な物』と共に消えてしまった音は

    一体なんだったんだろう。

    何が楽しくて、ボクは歌っていたんだろう

    いったい何を聴いていたんだろう


    もしそれが

    昨日聴いた歌と同じものだったとしたら?

    答え合わせをしても、何の意味もないけれど

    あれから1日経った今日も、ボクはまた求めてしまっている。


    もう一度聞きたいと思ってしまっている。

    あの場に居たドールは二度と聴きたくならないであろう、

    あの歌を。


    ”友達が傷ついたら、悲しくなりませんか?”


    ならないよ。

    なれないよ。


    “キミのその考え方は寂しいと思います”


    言葉で確かめ合うだけの友情なんてごっこ遊び。

    …それ以上の友情や愛情も、存在するのは

    わかってたよ あのときも

    でも―――


    ボクには友達と呼べるドールはいない。

    日記にとりあげるのも「見ていて飽きないドール」「刺激のあるドール」のことだけ。

    正確に言うと、いないんじゃなくて、作ろうとしてないだけ。

    面倒だから。



    ……嘘。

    作ろうとしてないんじゃない。

    作り方…

    作り方がわからない?

    ううん

    作れるはずがない。

    こんなボクじゃ。

    できるはずがない。
    形だけの友情の、そのずっと先にある
    きっと……もっと熱い炎
    本当は、ずっと憧れていた
    けれど それは多分
    ここからあまりに遠い場所にあって
    ボクは誰かとそこにたどり着く前に
    燃やしつくしてしまうだろう


    最も

    今のままで何ひとつ不自由しないなら

    『大切だ』と、思う必要さえない。

    明日からはまたいつも通り。
    ボクは至っていつも通りだ。


    ”キミが友達と思ってなくても、きっとみんなキミを放っておかないでしょうから”


    ほっといてよ

    いいんだよこのままで

    だってボクは

    見知ったドールが苦しむ声がほんの一瞬、心地よい歌のように聴こえてしまう
    正しく籠に留まることを忘れてしまった、篝火なのだから。

     
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