「…?どうしたんですかカガリさん…ノックはしてとあれほど…」
4月14日、日もすっかり落ちた頃。
用があって、『飽きないおもちゃ』でおなじみの、クラスコード・ブルーのアザミの部屋に訪れた。
かつてボクがアザミをからかったとき
「黄色と紫半分ずつにしてあげましょうか!?」
と言われたことがある。
「…まぁ、半分冗談で言ってましたけど、それが何か…?」
だから、半分ずつになってあげようと思ったのだ。
ボクがアザミの前でベルトのような形をしているコレをつけると、
ボクの上半身と、下半身が分離し、文字通り体が「はんぶんこ」になった。
黄色と紫はくっついたまんまだから、「はんぶんこ」の勝手が違うけど…
でも…
もしかするとこれを読んでる皆の中には、慣れてるドールもいると思うけど 上半身と下半身をバラバラに動かすのってすっごく難しいしややこしい。
歩いても上半身が動かないし、上半身を抱き上げて運ぼうにも肝心の両腕は上半身についている。めちゃくちゃだ~
結果アザミには、脚がくるくる回り、腰から上が何もできずにひんこひんこする シュールな光景を焼き付てしまったに違いない。
「あ、これね、まぎあれりっくっていうんだって!さっきもらった!」
慣れない胴体分離ライフに苦戦しながらアザミに説明した。
そう、今朝突然、マギアビーストが春エリアに出現したのだ。
前回のビーストはイマイチやる気が出なくてサボってしまったので、
今回ボクが討伐に行かない理由はなかった。
「……え、とういうことはもう討伐されたんですか?」
この「マギアレリック」という道具は、マギアビーストを見事撃破すると、厳正なる審査により参加したドールの中からひとり選ばれて貰える不思議な道具。
それをボクが今持っているということは、今回の戦いが無事終わったこと、そして
「…………またかぁ……ッ!」
アザミの手には今回のレリックが渡らなかったことを意味する。
(ちなみにトドメはチーム・カガリが刺しましたぁ☆)
ボクが討伐に行く前、先に一戦交え終え、寮の休憩スペースで休んでいたアザミから、 彼女は何度か討伐経験があるものの、まだ一度もマギアレリックを手にしたことがないという話を聞いていたので、ボクは100点満点の笑顔を添えて、アザミに労いの言葉を贈った。
「残念だったねぇ!!」
「ぐぎぎぎぎ…!」
100点満点悔しさ満点のお返しがすぐに来た。
「煽りに来るとはいい度胸ですねぇ〜
下半身を空の彼方に飛ばしてあげましょうかァ!?」
この流れは…
次は空の彼方まで飛んでいけるマギアレリックが手に入るのかな?という期待を抱きながらも
「その前に解除方法読んでくんのわすれたからボクの上半身部屋に運ぶの手伝ってくんない?」
まずは目の前のこんがらがりすぎた現実をなんとかしなくてはいけなかった。
「………………はぁ……」
大きくため息をついたアザミは、ボクの上半身んを首ねっこを摑むように持ち上げ、ボクの部屋まで運ぶのを手伝ってくれた。
上半身を動かすことに意識を集中しなくてよかったが、下半身の動きをちゃんと目で見てあげないとすぐどこかしらにぶつかってしまう。歩くのも一苦労だ。
「最初はちゃんと読んできなさい」
習うより慣れろってことで、実際に使ってみた方が早いと思って 最初の何行かだけ読んですぐアザミルームに突撃しちゃった。そういうところがボクらしい!
かくして、今日のボクとアザミの物語も、アザミのこの言葉で締めくくられるのだった。
「おバカ…」
*
効果を覚えておく意味でも、マギアレリックの性能を書き写しておこう。
よめない
↓
「OHL-ドライバーS
←なにこれ」
マギアレリックの説明
「ベルトの形をした制御下にある異常
装着すると上半身と下半身が分離される
決して壊れることはない」
アザミが帰ってから説明書を読みなおしたけど結局カラダを戻す方法が書いてなくて…とりあえずレリックを外してみたら体は元に戻ったんだけど、 ものすごくイタかったです。おしまい。
Diary009「約束は守るよ!」
↑ちなみにコレは持ち主が勝手に足してる見出しだからカガリは知らないぞ!PR